楽曲の世界観から生まれた短編を、電子書籍風のレイアウトでお読みいただけます。
1. 日常のすきま
会社を休むことになってから、時間は奇妙な形をするようになった。
朝と昼の境目が曖昧で、曜日はすぐに意味を失う。
蘭は目覚ましをかけないまま目を覚まし、カーテン越しの光が強いか弱いかで、今日が晴れなのかを判断した。
コーヒーを淹れる。
マグカップに注いで、ソファに座る。
気づいたときには、もう冷めている。
忙しさの中にいると、ほんの少しだけ、疲れてしまうことがあります。そんなときは、日常のあいだに、小さな“すき間”があってもいいのではないか。そう思って作った曲です。
私自身、過去に仕事で心の調子を崩してしまったことがあります。当時は、無理をすることが当たり前で、立ち止まるという選択肢は、ほとんどありませんでした。それでも働き続けていた自分がいました。
けれど今は、ちゃんと休むこと、体調を取り戻すことが、少しずつ許される社会になってきたと感じています。
忙しさの中では、何が正しいのかさえ見えなくなることがあります。だからこそ、少しだけ立ち止まること。自分にとっての答えを、ゆっくり探すこと。
「日常のすき間」は、逃げるための曲ではありません。休んだあと、もう一度日常へ戻っていくための曲です。
もしこの曲が、誰かの日常に小さな“すき間”をつくることができたなら。少しだけ「休んでもいいかな」と思えたなら。
— maurice blue
Producer / Bluepiece Lab.
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