前回まで、
インスト曲を量産していた時期の話を書いてきた。
曲は十分に揃っていた。
世界観も、はっきりしてきた。
だからこそ、
そろそろ歌を入れてみようと思った。
最初に手をつけたのは、
「花は散り」だった。
昔から作曲はしてきたので、
作詞に対して大きな苦手意識はない。
ただ今回は、
AIで作った曲だった。
だから一度、
ChatGPTに歌詞を考えてもらった。
悪くはない。
でも、どこかしっくりこない。
そこで、
一度AIの案は脇に置いて、
頭に浮かぶままに歌詞を書いた。
その歌詞をSunoに入れ、
カバー機能で歌を乗せてみる。
すると、
ぼんやりと、メロディの輪郭が見えてきた。
そのメロディに合わせて、
歌詞を少し書き換える。
今度は逆に、
「このメロディを引き出したい」
という気持ちから、
尺を伸ばしたり、言葉を繰り返したりする。
そうやって、
歌詞とメロディを行ったり来たりしているうちに、
一曲の形が見えてきた。
少し、世界観が暗すぎるかもしれない。
そんな気もした。
そこで、
最終形に近づいた歌詞を
もう一度ChatGPTに入れて、
客観的なアドバイスをもらった。
もらった修正案の中には、
「あ、これはいい」と思えるものがあった。
それを取り入れて、
歌詞は一度、完成とした。
歌詞が決まったら、
あとはひたすら生成を繰り返す。
しっくり来るまで、
何度も歌をやり直す。
クレジットは、
見る見るうちに減っていった。
面白かったのは、
漢字の読み間違いが、意外と多いことだ。
ひらがなに直したり、
アクセントを調整するために
あえてカタカナを使ったり。
細かい修正を重ねながら、
ようやく一曲が完成した。
完成した「花は散り」を聴いて、
正直、驚いた。
演奏は普通に上手いし、
アレンジもかなり高度だ。
譜面に起こしてみて、
気づいたこともある。
16分音符で、
微妙にスイングしている。
それが、
少し不安定で、
宙に浮いているような感覚を生んでいた。
コード進行も、
基本はシンプルなのに、
ディミニッシュを挟んだり、
オンコードでベースが良いラインを取っていたりする。
歌も、曲調に驚くほど合っていた。
響きには憂いがあって、
「本当にAIの歌なのか?」
そう思うほどだった。
自分でも、
この曲を実際に歌ってみた。
すると、
「なるほど、これは難しい曲だ」
ということが、身体でわかった。
AIの歌唱からも、
学べることがたくさんあった。
インストのときよりも、
世界観が、はっきりと見えていた。
何年ぶりに、
「作品が完成した」と
心から思えただろう。
正直、少し感動した。
この手応えのまま、
「ブルー・カーペット」
「ラスト・メモリーズ」
にも、同じように歌を乗せていった。
歌詞を少しずつ書き足し、
迷ったらChatGPTに相談する。
そのやり取り自体が、
制作の一部になっていった。
仕事をしながらでも、
曲を作るのが日課になった。
通勤時間や、
夜の少しの時間を使って、
音楽に没頭する。
気づけば、
生活の中心に、また音楽が戻ってきていた。
次回は、
こうして生まれた曲たちをまとめ、
アルバムという形にしていく話を書こうと思う。




