楽曲の世界観から生まれた短編を、電子書籍風のレイアウトでお読みいただけます。
1. 温度差
部室の窓は、いつも半分だけ曇っていた。
中学二年の冬。
ストーブは壊れていて、息は白く、アンプのランプだけがやけに赤かった。
俺たちにとってバンドは、放課後の延長だった。
文化祭で目立てればいい。
好きな曲をコピーして、少し女子に騒がれれば、それで十分。
「スターダスト」は、スターになっていくひとりの女性を、第三者の視点から描いた曲です。その視線はきっと、凡人である自分自身と重なっています。
制作を始めたとき、曲はすでに強い輝きを放っていました。迷いもありました。時代の空気の中で、「アイドル」という題材を選ぶことに少し躊躇もありました。
それでも、音を聴くたびに浮かぶ映像はひとつしかなく、抗うことはできませんでした。
歌詞を書く過程は、決して楽ではありませんでした。スターへと駆け上がっていく存在と、そこに追いつけないもう一人の主人公。その対比は、ただの羨望ではなく、努力や覚悟の差を理解しているからこそ生まれる苦しさでもあります。
「スターダスト」は、美しく、きらびやかな曲です。けれど同時に、内側を静かに照らし出す一曲でもあります。アルバムの中でも、強い緊張感と存在感を持った楽曲になりました。
輝きは、憧れであると同時に、自分の影を濃くするものでもある。この曲は、その両方を抱えたまま、最後まで駆け上がっていきます。
— maurice blue
Producer / Bluepiece Lab.
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