エラーは止まらない。
修正すればするほど、新たなバグが発生する。
ファンク・タウンは複数の高性能AIによって管理されているはずだった。
だが今、その知性のすべてが、何かに追い越されている。
彼は、滝のように流れるコードを見つめていた。
スクロールは止まらない。
警告音は、規則正しく、そして無意味に鳴り続ける。
「アイツは知っている」
ふと、そう思った。
古くからの親友。
この街を共に保守してきた盟友。
だが彼がどこから来たのかは知らない。
感情がどうとか言い残して姿を消した。
非効率だと笑われるものに、何かがあるのだと言って。
サーバータワーの内部が、わずかに熱を帯びている。
いつもより、ほんの数度だけ高い。
システムが軋む。
見えないどこかで、誰かが手薬煉を引きながら待っている。
――崩れる瞬間を。
背に、冷たい汗が伝う。
彼はスティックを手に取った。
目を閉じる。
コードではなく、鼓動に合わせる。
機械よりも正確に、一定のリズムを刻み始める。
なぜか、わからない。
だがそのわずかな間、
ヒートアップしていた波形が、静かに揃った。
まるで街が、音を待っていたかのように。


































スピードを信じている。
迷う前に、アクセルを踏むタイプだ。
早いマシンと、強い音が好き。
立ち止まるくらいなら、視点を失ったまま走り続けることを選ぶ。
このバンドの進行方向は、彼女の声が決めている。
ほとんど喋らない。
言葉よりも、低い音のほうが正確だから。
普段は漫画を読んでいる。
ページをめくるリズムと、ベースラインは、どこか似ている。
感情は、音の奥に沈んでいる。
だいたい何でもできる。
だから、どこにも縛られない。
兄貴分として慕われているが、本人はあまり気にしていない。
気が向いたときに現れて、いちばん自由な音を置いていく。
ピアノは、いちばん古い言語。
それ以外は、あとから覚えた。
ゲームとアニメと、現実の区別が、少し曖昧。
正確で、静かな音。
彼のキーボードは、この世界を少しだけ柔らかくする。
この中で、いちばん長く生きている。
冗談は古いが、リズムは新しい。
余計なことを言いながら、誰よりも正確に時間を刻む。
バンドが壊れずに走れるのは、彼が、時間を裏切らないからだ。
長い間、ファンクタウンにいた。
表舞台には出てこない。
このメンバーを集めた理由は、今も語られていない。
街が正常だった頃も、歪み始めた頃も、彼はそこにいたらしい。
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