「Funktown」は、仮想の街を舞台にしたアルバムです。
この街では、すべてが最適化されています。
出来事は解析可能で、無駄は削られ、論理と合理性によって世界は静かに更新され続けています。
その景色は、遠い未来の話ではないのかもしれません。
私たちはすでに、効率や正しさを求めながら暮らしています。
情報は整理され、判断は高速になり、人工知能は少しずつ人間の役割を引き受け始めています。
けれど、その一方で、人間は驚くほど感情的な生き物です。
匿名の場所では怒りや不安が溢れ、説明できない衝動や違和感に動かされる。
合理的であろうとするほど、感情は押し込められ、行き場を失い、別の形で現れてくる。
もしかすると、これからの世界では、人間そのものが少しずつ“バグ”のような存在になっていくのかもしれません。
感情は非効率です。
矛盾しています。
不合理で、時々醜く、理解し難い。
それでも私は、その不完全さの中にしか生まれないものがあると思っています。
心を動かされる瞬間。
誰かを好きになる理由。
説明できない違和感。
古びたルールへの反発。
失敗や迷いから生まれる変化。
世界は、綺麗に整ったときよりも、少し歪んだ場所のほうが面白い。
「Funktown」の10曲は、それぞれ異なる場所から、その揺らぎを描いています。
視点を失うこと。
矛盾を抱えること。
速さに惹かれること。
傍観してしまう弱さ。
静かな憂鬱。
壊れたあとに生まれる輪郭。
どれも、人間の不完全さから始まる物語です。
このアルバムは、未来を否定するための作品ではありません。
進化や合理化の先で、それでも消えずに残るものは何か。
その問いを、仮想の街という形で音にしました。
もし聴き終えたあとに、
自分の中にある少し説明のつかない感情や、
世の中の小さな違和感に気づいたなら。
その瞬間だけ、この街は現実とつながります。
Album